



地紙とは、扇に貼るための紙のことを指します。
扇の「骨」の部分がない、紙だけの平らな部分を「地紙」と呼び、この部分に装飾や絵柄を施します。
扇の形は末広がりで、広がる先が大きくなることから、縁起の良い象徴とされています。
一方、「四君子(しくんし)」とは、中国の伝統文化において、「蘭(らん)」「竹(たけ)」「菊(きく)」「梅(うめ)」の四つの植物を象徴的に組み合わせた文様のことです。
この言葉は、気高く高潔な人格を持つ理想的な人物を称える「聖人君子(せいじんくんし)」に由来しています。
それぞれの植物が持つ特性が、君子の徳を表しているとされます。
蘭(らん)春 優れた品性と気品を表し、学問や知性の象徴ともされます。
竹(たけ)夏 忠誠心や忍耐力を象徴し、どんな困難にも屈しない精神を表します。
菊(きく)秋 高潔さや長寿、また秋の季節を象徴します。
梅(うめ)冬 再生や希望の象徴であり、逆境を乗り越える強さを表します。
四君子が描かれる文様は、「吉祥文様」としても知られています。
吉祥文様とは、幸福や繁栄、長寿、成功などの願いが込められた伝統的な模様のことです。
末広がりの地紙と吉祥文様の四君子を組み合わせた縁起物のお茶盌です。